マグネティックス/リニアドライブ 合同研究会
  〔委 員 長〕 佐藤敏郎(信州大学)
  〔幹  事〕 佐藤祐樹(青山学院大学),高村陽太(東京工業大学)
  〔幹事補佐〕 Tonthat Loi(東北大学)
 
  〔委 員 長〕 大橋俊介(関西大学)
  〔副委員長〕 矢島久志(SMC(株))
  〔幹  事〕 田中実(鉄道総合技術研究所),平山斉(鹿児島大学)
  〔幹事補佐〕 佐藤光秀(信州大学),鈴木憲吏(東京都市大学)
 
  研究会資料は開催初日の3日前から,電気学会電子図書館(Book Park)にて購入いただけます。
詳細は,研究会参加者の皆様へのご案内よりご確認ください。
 
日 時 2022年6月2日(木) 10:30〜16:20
  2022年6月3日(金) 9:50〜16:50
場 所 WEB開催
参加申し込みフォーム:https://us06web.zoom.us/meeting/register/tZ0rc-qoqTkjG9QYb05PdLc0dWCOWFCYI5aB
共 催 スピニクス研究会,IEEE Magnetics Society Sendai/Sapporo Joint Chapter
協 賛 磁性材料の高周波特性活用技術調査専門委員会,磁気センサと機械学習の活用調査専門委員会,次世代ヘルスケアのための磁気による挑戦的技術調査専門委員会,ナノスケール磁性体を用いた機能性材料開発調査専門委員会,電気学会東北支部
議 題 テーマ「高周波磁気、磁気センサ、生体磁気、ナノスケール磁性体、リニアモータ・アクチュエータ、スピニクス、磁性材料・磁気応用一般、リニアドライブ技術一般」

  

6月2日(木) 10:30〜12:00 テーマ「磁性材料・磁気デバイス・スピニクス」
座長 直江正幸(電磁材料研究所)
 
MAG-22-046
LD-22-029
金属/ガラス複合ターゲットへのYAGレーザ照射による多周期積層磁性材料の開発
◎加来 響,松岡 諒,山下昂洋,柳井武志,中野正基,福永博俊(長崎大学)
 
MAG-22-047
LD-22-030
Fe系ナノ結晶扁平粉末とFe系アモルファス球形粉末を用いた10MHz帯絶縁プレーナトランスの検討
◎川崎 淳,志村和大,川田奈波,佐藤敏郎,佐藤光秀,水野 勉,宮地幸祐(信州大学)
 
MAG-22-048
LD-22-031
集積マグノニック素子のためのマイクロストリップラインアンテナを用いた広帯域スピン波励起
◎森 冠太(東北大学/東北大学),渡邊聡明(信越化学工業),高口拓己(東北大学/東北大学),中村雄一,リムパンボイ(豊橋技術科学大学),石山和志,井上光輝,後藤太一(東北大学)
 
6月2日(木) 13:00〜14:30 テーマ「磁気センサ・磁気計測Ⅰ」
座長 曽根原誠(信州大学)
 
MAG-22-049
LD-22-032
磁性薄膜スリットによる高周波駆動薄膜センサのインピーダンス整合に関する検討
◎坂本雅弥,鈴木椋太,石原知弥,本多順一,薮上 信(東北大学)
 
MAG-22-050
LD-22-033
スリットを有するマイクロストリップ型プローブによる透磁率評価
○渡辺佳是,益子朝日,坂本雅也,佐久間勝美,沖田和彦,薮上 信(東北大学)
 
MAG-22-051
LD-22-034
バーニアパターン小型角度センサの出力波形の観測
◎古野憲紀,田代晋久,脇若弘之(信州大学),正木耕一(センサー・ラボ),楡井雅巳(長野工業高等専門学校),國井久美子(信州大学)
 
6月2日(木) 14:40〜15:40 テーマ「磁気センサ・磁気計測Ⅱ」
座長 田代晋久(信州大学)
 
MAG-22-052
LD-22-035
強磁性共鳴型磁気センサを用いた磁気通信システム
○早坂淳一,菅原和幸,荒井賢一(公益財団法人電磁材料研究所),吉田 信(株式会社シーデックス)
 
MAG-22-053
LD-22-036
平面状に配置した複数磁気センサの出力を利用した磁場発生源の3次元位置計算に関する検討
○若生直樹,荒井賢一(公益財団法人電磁材料研究所),田中元志(秋田大学)
 
6月2日(木) 15:45〜16:20 テーマ「特別講演Ⅰ(磁気センサ・磁気計測Ⅲ)」
座長 田代晋久(信州大学)
 
MAG-22-054
LD-22-037
FM-OFGにおける周波数混合を利用した開磁路LC共振系由来の数十kHz帯減衰振動磁界検出
○笹田一郎(笹田磁気計測研究所株式会社)
 
6月2日(木) 16:20〜16:50 テーマ「特別講演Ⅱ」
座長 直江正幸(電磁材料研究所)
 
  高周波磁気工学研究の歩み
○佐藤敏郎(信州大学)
 
6月2日(木) 17:00〜18:10 テーマ「記念講演」
座長 佐藤敏郎(信州大学)
 
  コイルと磁性体が織りなす高周波磁気応用技術の魅力と展望
○山口正洋(東北大学)
 
6月3日(金) 9:50〜10:50 テーマ「パワーマグネティックス」
座長 菅原 聡(福山大学)
 
MAG-22-055
LD-22-038
電力変換回路に適用する磁性部品の鉄損実測評価における寄生成分の影響に関する一検討
◎井渕貴章,舟木 剛(大阪大学)
 
MAG-22-056
LD-22-039
実負荷を用いたスイッチング電源のイミュニティ性能に関する検討 -実負荷の誤動作有無による評価-
◎橋本竜大,西島健一(富山高等専門学校)
 
6月3日(金) 11:00〜12:00 テーマ「特別講演Ⅲ」
座長 直江正幸(電磁材料研究所)
 
  永久磁石材料の電波吸収体への応用
○杉本 諭(東北大学)
 
  山口正洋先生へのお祝い
○井上光輝(国立高等専門学校機構/東北大学)
 
6月3日(金) 13:00〜14:00 テーマ「リニア発電」
座長 森下明平(工学院大学)
 
MAG-22-057
LD-22-040
リニア同期発電機における昇圧回路導入による充電効率および制振効果向上の検討
◎小柳雄亮,東 拓海,丸山太一,大橋俊介(関西大学)
 
MAG-22-058
LD-22-041
4ストロークエンジンを用いるためのクアッド型フリーピストンリニア発電機の提案
◎入江渉馬,佐藤光秀,水野 勉(信州大学),西村郁弥,長沼 要(金沢工業大学)
 
6月3日(金) 14:10〜15:40 テーマ「リニアドライブ」
座長 佐藤光秀(信州大学)
 
MAG-22-059
LD-22-042
ハルバッハ界磁型リニアモータにおける端効果の検討
◎山口裕登,森下明平(工学院大学)
 
MAG-22-060
LD-22-043
半波整流自励方式可変界磁リニア同期モータの励磁電流が特性に及ぼす影響
◎寺脇創太,平山 斉,川畑秋馬(鹿児島大学)
 
MAG-22-061
LD-22-044
磁気浮上平面モータの磁界・電気回路・運動を融合した統合数値解析環境の基礎検討
◎伊藤哲聡,大西 亘,古関隆章(東京大学),中村雄一朗,高橋健治,関口裕幸(三菱電機)
 
6月3日(金) 15:50〜16:50 テーマ「モータ・磁気駆動」
座長 矢島久志(SMC)
 
MAG-22-062
LD-22-045
周波数伝達関数を用いたベアリングレスモータの振れ回り抑制と揺動運動
◎伊原正城,大島政英(公立諏訪東京理科大学),森本喜隆,林 晃生(金沢工業大学),小幡真之(コマツNTC)
 
MAG-22-063
LD-22-046
磁気駆動送りねじの高推力化と生検鉗子の駆動への応用
◎青柳陽太,本田 崇(九州工業大学)
 

  

一般講演:30分(講演20分,質疑応答10分),特別講演Ⅰ:35分(講演25分,質疑応答10分),特別講演ⅡおよびⅢ:30分(講演25分,質疑応答5分),記念講演:70分(講演60分,質疑応答10分)
オンライン懇親会を、6/2(木)18:30より開催することとなりました。会費無料・参加登録不要ですので、お気軽にどうぞ。参加登録不要につき、接続情報(Webex)は、研究会当日にZOOMのチャットにてご案内します。なお、研究会進行の遅れに伴い、懇親会開始も遅れる可能性がございますが、会場には18:10から入れます。
【山口先生ご定年記念講演概要】

1985年に、アモルファス磁性薄帯によるトロイダル磁心の高周波特性を1MHzまで測った。当時、MHzは未開の超高周波だった。研究の中心は1MHz、100V、1Aで動作可能なスイッチング回路開発と、過熱を防ぐため100ms以内に測定を完了するマイコン制御だった。巻線数を調整して、100V、1Aの範囲でより高い周波数まで測れるよう、設計チャートを何枚も描き直した。浮遊インピーダンスによる回路共振でMOSFETを次々と破壊し、ノイズの知識の重要性を思い知らされた。この経験は、パワエレ機器の鉄損とノイズに関する興味に繋がっている。周波数を高くすれば確かに磁心を小さくできるが熱くなる。どこまで使えるかは具体的ニーズ次第。これが結論で、アモルファスもファインメットも同じだった。
この頃、マイクロ磁気デバイスの研究が誕生した。薄膜なら発熱は防げるし、なによりマイクロ化によって将来は集積回路に組み込める(集積化と呼ばれた)と聞き、その魅力に取り付かれた。1988年にはマイクロ磁気調査専門委員会が発足した。以来、電気学会マグネティックス技術委員会がマイクロ磁気デバイス研究の中心となった。度々海外からのゲストも加わり、2002年には専門の国際ワークショップも始まった。集積化できれば、電力制御はもとより、センシング、論理演算、通信など応用範囲が格段に広がる。CMOS-LSIに限らず、MEMSとの集積化により流体制御、バイオセンシング、マイクロマシンにも広がる。
1996年に携帯電話の普及がはじまり、高周波化の目標周波数は一気にGHzに上がった。1998年に1~2GHzで「空心に比べ、Q値を保ちつつインダクタンスを上げる」ことができ、GHz帯の磁気応用が始まった。これは世界に拡がり、通信用オンチップ受動素子研究の全盛期が約10年間続いた。幕を引いたのは、2008年に強磁性共鳴による性能限界の指摘と実験実証であった。その後、材料研究とマイクロ電源(パワーソック、Power Supply On Chip)が研究開発の中心となり、今日に至っている。この間、講演者が残せたのは、磁性薄膜オンチップインダクタの基本的知見の集積と、国際標準化に足る薄膜透磁率測定法の開発、コミュニティの形成などである。その後、講演者は、強磁性共鳴損失を電磁ノイズ抑制に利用する研究に転じ、通信EMC技術を展開している。
ごく最近は、カーボンニュートラルを実現するパワーエレクトロニクス技術分野の要請で、受動素子の低損失化への期待が格段に高まっている。発熱とノイズに悩まされた経験をリフレッシュして、大振幅励磁の磁心動作を測定しようと再スタートした。並行して、若い方々が果敢にこの分野を推進されているので、うまく背中を押したいと考えている。
本講演は以上を要約し、最近のIEEE学会活動とも絡めて報告する。本講演が、現在ならびに今後磁気応用分野を推進される方々のご参考となれば幸いです。なお、時間の関係で、通信EMC技術については、以下の別の機会*に述べる。

*<第3回 西日本EMCワークショップ>
(電気学会マグネティックス技術委員会が協賛します)
日時:6/17(金) 14:00~17:00
開催形式:オンライン聴講可のハイブリッド形式
オンサイト:神戸大学統合研究拠点コンベンションホール
オンサイト詳細:http://www.oair.kobe-u.ac.jp/ir/map-ja.html
参加申込フォーム:https://forms.gle/gxnR5VBnTBuq2TW2A

タイトル:コイルと磁性体で挑む新しい通信EMC技術

概要:講演者は、1996年、多層平面シールディドループコイルの開発を契機として、高周波・高空間分解能を特徴とする近傍磁界計測の研究に着手した。これにより、半導体集積回路や電子機器の近傍ノイズ計測、高分解能サイドチャンネルアタック、液晶パネル中の電流経路解析などで、新しい知見を得ることができ、EMC研究者の仲間に入れて頂いた。一方、磁気分野で行っていたRFオンチップインダクタの研究とEMC研究との出会いから、2010年頃より磁性体によるオンチップノイズ抑制技術の研究を多くの仲間とともに本格化した。通信用チップを研究対象としたことから、ノイズ抑制は目的でなく手段となり、ノイズ抑制による受信感度向上を常に目指すことになった。これは磁性体のシーズ研究から通信技術のニーズ研究への転機となり、今は材料物性から回路技術、不要電波の国際標準化に至る広範囲の産学官共同研究をさせて頂いている。磁性体の実装法は、チップのパッシベーション上へのスパッタ成膜から、インタポーザへの塗布、さらにPCB基板への内蔵と、用途に応じて様々なレベルで対応できる。今後も、5G展開やB5G開始を見据えてコイルと磁性体は更に活躍の場を広げるとワクワクしている。本講演では、これらの新技術を、最近のIEEE学会活動とも絡めて紹介する。